三回塗りの合理性 📏🖌️
2025.11.12
“三回塗り=正義”ではない。 正義は役割と膜厚と層間密着。ただし実務上は下塗→中塗→上塗の三層が最も安定して品質を出しやすい。今回は理論塗布量→必要缶数→WFT/DFT→インターバルまで、数値で語る塗装を解説します。🧮
1. それぞれの“役割”を理解する 🎭
下塗:密着/吸い込み止め/防錆。土台を作る層。
中塗:膜厚の大半を担い、色の隠ぺいを進める。
上塗:耐候・艶・低汚染の最表層。雨・紫外線と戦う盾。🛡️
2. 理論塗布量と必要缶数の出し方 📦
理論塗布量(㎡/L)×面積(㎡)=必要量(L)。
ロス(重なり・器具)を**10〜15%**上乗せし、缶数不足=膜厚不足の危険を避ける。
空缶管理で“出た量”を裏取りするのがプロの習慣。
3. WFT/DFT(膜厚)の管理 🧰
WFTコームゲージで湿膜厚を測定→体積固形分から**乾燥膜厚(DFT)**を推定。
角・端部・小口は薄くなりやすい→ストライプ塗り(先行タッチアップ)で補う。
4. インターバル(層間乾燥)⏱️
短すぎると溶剤残り/白化/しわ、長すぎると層間密着低下。
季節・温湿度で変動。仕様書の範囲で運用し、雨予報から逆算して工程を切る。
5. 2回設計は“条件付きで可” ✅/⚠️
高性能下塗+高固形分上塗で目標DFTを満たす設計なら、2回でも理屈は通る。ただし色替え大/下地劣化大は3回が無難。
現場判断で「2.5回」(下塗厚付→上塗2回目軽め)など微調整もあり。
6. 実務Tips 🛠️
色替え:中塗を近似色にして上塗の隠ぺいを助ける。
希釈:レベリングのために入れすぎるとDFT不足。指定範囲内で。
塗り継ぎ:日の当たり/乾燥差で段差・ムラ。幅を広く持って消す。
7. トラブル事例と処方箋 🩺
ピンホール:泡・揮発→薄付×複数回、消泡剤・攪拌見直し。
艶ムラ:吸い込み差・ロット混在→下塗厚/缶のロット管理。
しわ・割れ:重ね早すぎ/過厚→規定WFTとインターバル遵守。
8. 検査・記録 📸
WFT/DFTのスポット測定値、空缶数、温湿度、風速を日報化。
端部ストライプの前後写真で膜厚担保を可視化。
9. まとめチェック ✅
次回(第9回)は色選び。心理・景観・汚れ・退色を数値と体感の両輪で設計し、後悔ゼロの配色術を公開します。🎨🧠
